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Posted by 染織十字屋
 
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ぜんまい織と画家と黒猫
愛知県美術館での「第46回 主体展」に行ってきました。

画家の菊池昇栄太さんの作品が目的で拝観。
菊池昇栄太さんは
ぜんまい織の作家、故菊池星女さんのご主人。
数日前にご家族からの知らせで昇栄太さんが10月に亡くなったのを知りました。
80歳でした。


菊池星女さんは元々帽子作家で
60歳を過ぎてから染織を始められ
亡くなる70歳までの10年間にぜんまい織の帯や着尺を織られた染織作家。
ぜんまい織はぜんまいの綿毛を真綿と紡いで糸にし、そこから織り出される布です。

私が染織を始めたばかりの頃に
野趣あふれる独特のデザインに魅了され
「基本が身に付いたら訪ねよう」と思っていた矢先に亡くなられました。
(余談ですが、これ以後、会いたい人には遠慮せずに会っておこうと思うようになりました。)

豊田市民芸館が数点所蔵しているとの事だったので
見せて頂いたのをご縁に館長さん(この方も数年前に亡くなられました。)が動いてくださり
大阪民藝館や日本民藝館でも帯や切れ端を見せて頂きました。

自分でもやってみようと各地方々ぜんまいを探すこと2年。
色んな方がぜんまいの綿を送って下さるのですが
どれも微妙に違うもの。

もうどうにもこうにも見つけられないので
図々しくも星女さんのご主人に手紙を書いて場所を問い合わせました。
すぐに、ご主人から電話があり
30分程しっかりお説教を賜りました。。。

曰く

梅雨時に雨合羽を着て、
一ヶ月間一日置きに採取してようやく一年分確保できるもの。
しかも東京から助っ人を呼んで3人掛かり。
そう簡単に成しえることではない。
だから価値があるのだ。
近所にぜんまいがあるから出来る事。
しかも植林が進んで少なくなっている。
等々。。。

まあ館長の縁の人なら無碍に断れないから、
場所だけ案内するから来なさい。
(館長さん感謝!)


とのことで喜び勇んで出向きました。

駅で待ち合わせをしていたのですが
しょっぱなに詳細に組んだタイムスケジュールを見せられ
「この予定で行きます。」
とのこと。
はい!
更なる緊張。

電話での一件があり、感謝しつつも非常に緊張していたのですが
自生場所を案内して頂く前に
自宅に招かれ星女さんの仕事場や作品を見せて頂き
色んなお話を聞かせて頂きました。

その後、「あなたと二人ではなんなので。。。」
と、ご近所の女性を誘ってくださり3人でぜんまいの群生地へ。
まず山の神様に挨拶しなさい。採取はそれから。とおっしゃるのでご挨拶。
「山の神様ちょいとお邪魔致します。」
やっと出会えたよ、ぜんまい!

ついでに素晴らしく絶景でした。

ひとしきり採取し終えた後
「家内が亡くなってから辛くて数年はここにも来ませんでしたが、
久々にきて今日はいい供養になりました。」
と言って頂きました。

たまたま私が菊池夫妻の大学の後輩であったり
星女さんの若い頃の面影がある(恐縮です)とのことであったりで
結果的にとても良くして下さいました。
(このとき初めて出身校に感謝しました。)

八ヶ岳山麓の別荘地にゴヤという名の黒猫(名古屋からもらったからゴヤ)と暮らし
毎日同じルーティンをこなして規則正しく暮らしているとのことでした。

その後、私自身の体調の悪化もあり数年行けなかったのですが
一昨年に久々に採取に出掛け、
その折も駅から現地へ送迎して下さり
ご自身のアトリエも見せて頂きました。


毎年、ご主人から主体展の案内を頂いて拝観していましたが
今年が最後となってしまいました。
星女さんには生前にお目にかかれませんでしたが
ご主人との不思議なご縁を得られたことを感謝しています。

ご冥福を心よりお祈り申し上げます。

で、その後そのぜんまい綿はどうしたのか?
糸にはしました。
まだ織ってません。
作品として売るつもりはないのでゆっくりやります。

Posted by 染織十字屋
 
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